「行く必要ある？」
例によって、あうの台詞である。Ｄ高に一度も行ったこともないが、説明会自体には興味がないようだ。

　やっと行われる第一志望校の説明会である。説明会に行くことで、モチベーションにブーストがかかるかもしれないと、またしても取らぬ狸の皮算用をしてほくそ笑んでいた。
　そうなれば、”どうせ受かりっこないんだったらもう勉強したくない” 病もなくなるかもしれない。私の勝手な持論は『中学校で習う以上のことを求められているのだからぎりぎりまで諦めずに勉強を上乗せできた人から合格する』、である。そもそも夏休みからのほぼ塾なし後発格下組なのだから、やる気が出ないなどとゴネている余裕はないのである。

　が、まさかの説明会欠席である。わざわざ行って聞かなければ知ることができないことがあるとは思えないのだそうだ。他校の説明会で学んだらしい。ま、そうだけど、雰囲気とかは行かないと感じられないじゃんか。そうは思ったが、この屁理屈王子が行ったら、どんなケチをつけるかわからないので無理に勧めないことにした。（念のため書いておくが、ケチをつけていても気に入らないということではなかったりする。屁理屈王子なので面倒くさいのだ。）

　あうは欠席でも私は一人で行ってきた。ずっと行ってみたかったのだ。しかも入学試験要項を購入する必要もある。

　さて、以下は、あうが気に入りそうなポイント（順不同）である。
① 通いやすい。
　　　　電車の乗車時間が20分弱。知ってはいたがこれほどとは。
② 在校生のお迎えがない。
　　　　言わされている感満載の「こんにちは」連呼を、あうは忌み嫌っている。
③ 説明時間が30分弱。
　　　　校長先生、生徒会長、主任の先生３人の話がいずれも簡潔で重複なし。
　　　　全国レベルの部活なども、知りたければwebサイトなどで、程度の紹介。
　　　　あうは部活・行事嫌いなので説明に力が入れば入るほど、距離を感じる。
④ 広々している。
　　　　建物と建物の間に十分な空間があり、開放感がある。

　気に入らなさそうなことは特になかったが、あう的には気になりがちな、温水洗浄便座かどうかは見損ねた。今どきの子は、おしりまで贅沢だ。
　ヘビースモーカーのオット向には、駅前のカフェのひとつに、喫煙スペースがあったことを報告してあげよう。